剣山飲んで胃潰瘍になりたい

あわよくば介護されたい

地球人になった宇宙人の話

D.D.が初披露されたとき、主に歌詞割においては向井康二くんのことが話題に上がっていたように思う。

 

“The thing is How it shines 何色でも”

 

大切なことはどのように輝くかである、たとえそれが何色だったとしても。

関西から関東へ、駆け上がるようにして怒涛のデビューを果たした向井康二くんがこの歌詞を担当するということはどれほどの覚悟が必要だったか。

彼のファンを含めひどく胸を打たれたオタクは多かっただろう。

今書き出していてもちょっとしんどい。

 

たとえばその他にも、

“淘汰の先にある未来へ”

で後輩のデビューをたくさん見届けてきた深澤辰哉くん、楽しい10問10答動画で「同期はいません みなさん辞めてしまって」と言っていた宮舘涼太くんがMVに抜かれることも意味があるように思えてしまってわたしはつらかった。

 

1月22日発売のD.D.。

デビュー前1ヶ月くらいでハマったくせにどうしようもなく応援したくて、クソ田舎の居住地にはCDショップなんてないから片道2時間と少しをかけて唯一日帰りで行けるタワーレコードまで行った。

予約もしていてフラゲもしていたのに、わざわざ有給を使わせてもらってCDを買いに行った。

それから散々聴いた。

今日は2020年9月18日。

聴き潰した自信がある。

わたしはもともと音楽を聴くのが好きで一日のあいだ許される限り音楽をかけているし、気に入ったものばかり聴くからおそらくものすごい回数のD.D.を聴いた。

すの担のみなさんも、きっと同じくらい聴いていらっしゃる。

それなのに、そんな回数を聴いてなお気付いていなかった部分があった。

今更気付いて、気付きたくなかったと思ってしまう部分に出会った。

 

 

“この地球の期待超えてけ”

 


Snow Manの、記念すべきデビュー曲のD.D.の、目黒蓮くんが一番目立つパート。

はじめは宇宙Sixのメンバーだった目黒蓮くん。

徐々に兼任が始まったという彼は、冒頭で触れた向井康二くんと変わらないくらい怒涛のデビューだったのではないかな、と知らないなりに感じていたのを覚えている。

感じていたというだけで、目黒蓮くんのことは正直特に深く考えていなかった。

 

余談のうえにこちらも日が浅いのだけれど、わたしはNEWSのオタクでもあるので兼任については純度100%の反対派であるということを明記しておく。

 

少し逸れたが、“この地球の期待超えてけ”。

音楽番組では絶対に目黒蓮くんが抜かれるこの部分。

「け」がどこに飛ぶのかをメンバーにいじられすらしたこの部分をご存知ないすの担はいないと思う。

「け」で目黒蓮くんがキメ顔で振る指先も、気まぐれで振る指先も、ラウールくんや向井康二くんにいじられてはにかみながら迷ったみたいな指先もだいすきだ。

サビ前Bメロで一旦落ち着くこのパートに目黒蓮くんの甘めな歌声はすごく合っていると思うし、ここは聴くのも見るのもだいすき。

わたしは昨日、友人に8.8祭を見せてもらった帰り道にD.D.を聴いて、目黒蓮くんの“この地球の期待超えてけ”を聴いて、後頭部を鈍器で殴られたような気持ちになった。


歌詞では「ほし」と読ませている「地球」。

地球って、わたしたちが暮らしている場所。

壮大なスケールの喩え。

だから目黒蓮くんが歌うこの歌詞は、

『地球(=ファン諸々)から掛けられた期待を超えたい』

ということなのだろうなと、ずっと思っていた。

いい歌詞振ってもらったね、かっこいいね、とすら思っていた。

 

たぶんわたしがつい昨日まで考えていたこの解釈だって間違いではない。

歌詞やパフォーマンスから感じるものは人それぞれで、自分の感性がいちばん強く受け取ったメッセージを大切にするのが素敵な楽しみ方だと思うから。

けれど、わたしの解釈は昨日を起点にすっかり変わってしまった。

 

わたしたちが暮らしている場所。壮大なスケールの喩え。

それ以前に地球は、太陽系を構成する惑星のひとつだ。

地球が惑星のひとつであることなんて、人間が普通に暮らしていたら知らなかった。

わたしたちが地球やその他の惑星の存在を知っているのは、先人たちが科学で解明してくれたから。

じゃあ、最初から地球を俯瞰できていたのは誰だろう。どこから見たら、「地球」が「ほし」であることがわかる?

 

答えはきっと、宇宙。

 

「この地球」に「期待」をかけたのは宇宙。

だって、人間のスケールでは目黒蓮くんやSnow Manに期待をかけることはできても地球「へ」期待をかけることは難しい。

だからこの歌詞はわたしのなかで、

“(地球上の人間による)この地球(から)の期待超えてけ(超えたいという意気込み、願望)”

“(宇宙による)この地球(へ)の期待「超えてけ」(超えていけよ、命令)”

の二通りの解釈ができてしまって、本当に頭がぐらぐらした。

D.D.の歌詞の中で、明確に命令口調なのは「超えてけ」だけ。

総じて近未来的な雰囲気の曲で、宇宙空間を直接的に連想させる言葉はこのいちどしか登場しない。

宇宙人から地球人になった目黒蓮くんが歌う、“この地球の期待超えてけ”。

こんなことって、偶然で片付けていいとわたしは思わなかった。

雷に打たれたみたいに閃いて、今こうして書き起こしているけれど、本当は閃きたくなかった。

気付かないまま、いい歌詞だなあと思ったまま死にたかった。

けれどわたしは運良く、運悪く、8.8祭を見た。

宇宙Sixとして最後のステージに立ったとき、宇宙最高、と叫んだ目黒蓮くんを、そのときに両脇からぎゅっとしてくれた宇宙Sixを、全出演者がぐちゃぐちゃになっているとき長尺で映った原嘉孝くんと目黒蓮くんの表情を、見て、見て、見た。

宇宙Sixのことも原嘉孝くんのことも、正直に言ってほとんど知らない。

ISLAND TVがおもしろいことくらいしか知らない。

それでもあの快活そうな原嘉孝くんがあんな顔をしていたことは、もう一生忘れられないと思った。

宇宙Six目黒蓮くんのことが絶対にだいすきだった。

目黒蓮くんだって、宇宙Sixのことが絶対にだいすきだった。

ほんの少し見ただけでも痛いほど伝わってきたよ。

 

宇宙からの期待を大きな背中に受けて、背筋をしゃんと伸ばした目黒蓮くん。

その期待が、ただの期待ではないことをわたしはどこかで読み知った。

「次に一緒に仕事をするとき、恥じない自分でいたい。負けたくない。」

要約にはなるけれど、そして朧げな記憶で申し訳ないのだけれど、宇宙Sixか、もしくは目黒蓮くんがこんなことを言っていた。

俺以外のやつに倒されるな、戦い続けろ。

宇宙Six目黒蓮くんにかけた期待は、きっとそんな期待だ。

目黒蓮くんみたいに負けず嫌いで泥臭い人が、闘争心で燃え滾った期待に応えずにいられるはずがない。

宇宙Six目黒蓮くんは終わっていない。

勝者と敗者じゃない。

決着なんて、まだついていない。

まだ戦っている。

これからもずっとライバル。

そんなふうに居てほしいと、わたしは思う。

 

わたしはこれから、D.D.を聴くたびに宇宙Sixだった目黒蓮くんのことを思い出す。

つらいけど悲しくはない。

 

だってね、終わっていないから。